ファミコン世代
高橋名人の16連射
- ゲームは1日1時間という名言を生んだ高橋名人を紹介しよう。
スターソルジャーというソフトが絶大な人気を誇っていたころ、コントローラーのボタンを1秒間に16連射もできる男が現れた。
スターブレインを数秒で撃破する名人技は見るものを圧倒し、「黄金の指」として注目を集めた。
テレビだけでなくゲームソフトやマンガ本の主人公になるほどの人気ぶりは、芸能人のそれを超え、僕らのヒーロー的存在となっていた。
そして一秒間に何連打できるかを友達と競い合い、汗を流したものだ。 - ファミコンの全国キャラバン「GAMEKING」をご存知だろうか?
スターソルジャーの名人対決(高橋名人VS毛利名人)は有名で、その伝説は今もなお語り継がれている。 - 毛利名人との決戦に備え、数々の訓練プログラムを終えた高橋名人。
バイクを人差し指一本で止める、工事現場で連射の反動に耐える、16連射でスイカを割る‥。
一方、毛利名人はビルの屋上でトランプのピラミッドを完成させるなど、驚異的な集中力を見せつけた。 - なんでファミコンなんかでこんな辛い思いをしなくてはいけないのか、高橋名人の悲痛な叫びも多くのちびっ子を前にかき消されてしまうのだった。
下記の動画を見れば、男のプライドをかけた名人対決のスケールを容易に想像できるだろう。
動画を見る - 大会当日の決戦は、想像を絶する、それはすさまじいものであった。
雨あられのように迫ってくる敵と容赦ない弾丸のオンパレード。
もはや神の領域に到達した両名人の超人的な運動能力に、僕らはただ熱狂するしかなかった。
そこへ歯止めのきかなくなったナレーションがまくし立てる。
「2000万人を超えるファミコン戦士の頂点に立つのは果たしてどちらか!?」
2000万という数字がどこからきたのか知らないが、会場は大きな歓声に包まれた。 - 結果は3勝2敗で毛利名人の勝利と思いきや合計スコアで高橋名人が勝っていたため、引き分け。
双方に花を咲かせる形となった。
当時の高橋名人は27歳で、まだ髪の毛があった。(毛利名人は19歳)
それにしても毛利名人が10代とは誰も想像しなかったのではなかろうか? - 1ドットの無駄な動きも許されない厳しい状況の中、十字キーには限界がある。
誰もがそう悟ったとき、「ファミコイン」なるものを付属したジャイロダインというゲームが登場した。 - ファミコインとは十字キーを押しやすくしたパッドのようなものである。
しかし、そのゲームを買うお金のない一般庶民は、10円玉をセロテープで十字キーに貼り付け、あたかも操作性が向上したかのような気分を味わっていたのだ。 - そんな中、87年に高橋明人逮捕の衝撃ニュースが流れることになる。
学校内で様々な憶測が飛び交い、16連射はイカサマだとか、コントローラーにバネを仕込んでいたとか話題は尽きなかった。 - 結論からいうと、このウワサはまったくのデマである。
高橋名人は1日所長として警察に行っていたということが発覚し、当本人が苦笑いで会見した。
なにがどうやって「逮捕」になったのか?いや、ウワサというのは恐ろしいものだ。 - いろいろな意味でファミコン業界に大きな影響を及ぼした高橋名人。
現在もハドソン社員としてプロモーション、イベント等に活躍し、役職は「名人」(部長クラス)となっている。
メディアにでる機会が減ったため、その事実を知らないものは以外に多い。 - 2011年5月31日付けで、28年9か月もの間勤めてきたハドソンを退社。
メーカーにこだわらず、いろいろなゲームに触れてその楽しさを伝えたいという高橋名人。
現在はゲッチャ・コミュニケーションズ株式会社に入社し、ファミコン世代から培った多くの知識と話術でゲーム業界を活気づけている。
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